ビジネスパーソンには三色よりも四色ボールペン術がオススメな理由

齋藤孝先生の三色ボールペン術は有名です。基本的で使いやすく、応用が効きます。

しかし殆どの場合、私はビジネスパーソンに対しては、前田裕二さんの四色ボールペン術をオススメしています。使い方が限られてしまうものの、ビジネスセンスを養うには四色が必要となるからです。

今回は興味を示す人が多いので、三色ボールペン術と四色ボールペン術を紹介させて頂くことにします。

三色ボールペン術

齋藤孝先生の三色ボールペン術は大変に分かりやすいです。

  • 赤:すごく重要なこと
  • 青:まあ重要なこと
  • 緑:個人的に面白いと感じた部分

つまり色によって用途を決めようという話です。簡単なので小学生でも使いこなせますし、読書などにも応用できます。(もったいないですけれども、本に三色でアンダーラインを引きます)

ノートへの書き込み方法も、自由度が高いです。基本的に見開きページの左上に、日付とタイトルを書き込もうというルールだけです。

この三色ボールペン術を無意識に使っている人も多いでしょう。だからこそ三色ボールペンだとか、四色ボールペンが売れているとも考えられます。

ただし無意識の作業だと色付けをしたりする目的がブレることがあるので、あらかじめ明確に利用イメージを固めようという訳です。こういった心の動きに気付いたのが、齋藤孝先生のすごいところです。

四色ボールペン術

四色ボールペン術は、三色ボールペン術をビジネス用に特化させた術だとも解釈できます。(もちろんビジネス以外にも使えます)

ポイントは事実をメモする "黒" を採用していることです。赤・青・黒・緑の四色になります。

  • 赤:客観的なこと:最重要なこと
  • 青:客観的なこと:やや重要なこと
  • 黒:客観的なこと:ファクト(事実)のメモ分
  • 緑:主観的なこと

上記の客観的・主観的という表現は、前田裕二さんが "メモの魔力" で使っている表現方法です。それを無視して黒色を抜けば、先程の三色ボールペン術となります。

つまり四色ボールペン術は、メモやノートに書き込む時に主観的・客観的という視点を意識する必要が生じている訳です。おまけに黒があるので、「やや重要なことって何?」を明確化させることが必要になって来ます。

「客観的にやや重要なこと」とは何でしょうか。

試みに前田裕二さんの取ったメモを書き写してみましたが、彼の場合はビジネスのフレームワークを青色で書き込んでいました。たしかに重要だけれども、関係者全員に徹底するほどの重要性はありません。

"メモの魔力" の使用例

彼によると、重要度は人や組織によって異なるとのことです。前田裕二さんは赤と青を区別することによって、「自分にとって本当に重要なのかどうかを判断する訓練、言い換えれば、重要度を測るものさしを研ぐ訓練をしている」とのことです。

これはスタートアップ(ベンチャー)企業を観察することの多い私からすると、大変に興味深くて意義あることです。なぜならスタートアップ企業の関係者チームには、"ほぼ毎回成功する高確率チーム" と "たまたま一回成功しただけの偶然チーム" に分かれています。

もちろんどちらのグループも、優秀な頭脳を持ったチームで構成されています。スタートアップ企業を始めようという自信を持っているだけのことはあります。両チーム群とも、重要なところはちゃんと手を打っています。

では "面白いアイディア (緑)" によって成否が分かれているかというと、そんなこともありません。両チーム群とも、私から見ると "面白いアイディア" のビジネスを推進しています。

そう考えると、成否を分けているのは「やや重要なこと (青)」を、どれだけ要領良く押さえて、ビジネスを推進しているかという辺りになっているように見えます。スタートアップは限られた人材と資金でビジネスを始めるので、必要最小限のところ(だけ)を、ポイント押さえてカバーする必要があるのです。

前田裕二さんが社長であるShowroom社も、スタートアップ企業に分類されます。そう考えると、彼の考える「青の使い方」というのは、「なるほど」と頷ける部分が多いです。

これが四色ボールペン術の特長です。必ずしも誰もが高確率でスタートアップ企業を成功させることが出来ないように、この青を使いこなすには訓練が必要です。だから「ものさしを研ぐ訓練をする」というのは、スタートアップ企業の社長として必要な能力を育成するための訓練をしているという訳です。

ちなみに前田裕二さんの "メモの魔力" は上記画像をご覧の通り、どこに何を書き込むかも決まっています。Pyramid Principleと原理的に同じで、テーマだけでなく結論(主張)も同時に書き込む必要があります。また見開きページは左側から、小見出し・事実・本質(事実の解釈)・行動(何をすべきかの明確化・判断)と書き込むエリアが決まっています。

それゆえにビジネスパーソンとしては難易度が格段にアップしてしまうものの、四色ボールペン術を使うことがオススメとなる訳です。私も今までアイディア重視型の技術者(職人)的な仕事の進め方だったので、今からでも青を使いこなすことに挑戦してみようと考えている次第です。

まとめ

以上が四色ボールペン術と三色ボールペン術の相違点となります。使い方が限定されるし、難易度も上がりますけど、大抵のビジネスパーソンには四色ボールペン術がオススメとなります。

ただし使いこなせればバランス感覚や判断の重要なビジネス界では心強い武器を持てるものの、なかなか身に付けるのは大変です。小学生が使いこなすのも難しそうです。

だから三色ボールペン術と四色ボールペン術は、どちらが優れているかという単純なものではありません。その人の環境や資質に応じて、使い分けるのが良いのです。

以上の説明が、少しでも皆さんのお役に立つことがあれば幸いです。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成: 小野谷静 (おのたにせい)