頭のよさはノートで決まる:イメージ図と色の活用

今回はメモやノートを取る場合には、「イメージ図と色を活用すると良い」という話です。

Barbara Minto氏はPyramid Principelの中で、人間の思考には図(イメージ)が大きく関わっていると指摘しています。「頭のよさはノートで決まる」の著者である齋藤孝教授も、図(イメージ)を活用することの重要性を説いています。

そして彼の場合は、色 (カラー) を活用することの重要性も説いています。彼はTV番組でも "3色ボールペン活用術" を紹介しているので、ご存知の方も多いかもしれません。

今回は改めて、まずは図 (イメージ) の重要性を紹介させて頂くことにします。なお範囲としては「頭の中のもやもやを整理して、スッキリさせる」が主目的となります。

新しく何かを生み出す創造性に関する図は、また別な機会に紹介する予定なのでご承知おき下さい。

齋藤式ノート術10メソッド

齋藤式ノート術では、次の10メソッドが紹介されています。

  • いつもノートをカバンの中に
  • 自分にフィットするノートを
  • ノートに自分なりの名前を
  • ページにタイトルをつける
  • 三色ボールペンを使う
  • 図を描く
  • ポイントを三つにまとめる
  • 日付を入れる
  • ノートは一冊にする
  • 本をノート化する

基本的にPyramid Principleと同じです。これは折に触れて他方法との比較参照に利用するので、ぜひ覚えておいて頂くのが良いです。

いや、本を購入してしまうのが一番でしょうか。本書はロングセラーで重版が続き、著者による書き直しをしたものです。充実した内容に仕上がっています。

一つ一つが明確なデータと論拠に基づいています。一つ例を挙げて紹介してみましょう。

例えば「ポイントを3つにまとめる」は、2000年頃に流行しました。海外渡航者が多くなり、滞米経験を持つ者が広めたようです。何かを主張する時に、「私はXXだ。理由は三つある」というヤツです。

私自身も米国に渡って仕事をしていた時期があり、たしかに何回か聞いたことがあります。ちなみにPyramid Pricipleでは、3-5つにまとめることを推奨しています。(私が参考例として利用する図も、3つが多いです)

これはBarbara Minto氏によると、人間の短期記憶では5つくらいが限界だからなのだそうです。彼女の見るところでは、頭の良い人でも7つくらいが限界とのことです。

買い物を頼まれた時が、良い例かもしれません。ミカン、リンゴ、歯ブラシ、納豆、チーズ、こんにゃく、食パンを頼まれたら、完璧に買って来れる人はどれだけ存在するでしょうか。

こうやって見ると、相手に対して理由を説明する時に、3つにするのは親切というものです。だから "頭のよくなるノート" のように、3つに留めるというのは効果的です。

会社でも業務分担は3つにするのが良いと教えられたことがあります。無理をしない方が良いです。

ただしここで少し話が逸れますけど、Pyramid Principleのように説明資料を作成する場合は、資料に「3つの理由」と書くのはNG (No Good) とされています。これは「3」という余計な情報が脳内に蓄積されてしまうためです。

そして人間の思考はシリアルに進むので、理由は聞いた順番から重要性が付いて記憶に蓄積されて行きます。そうすると1つ目の理由だけを中心に議論が進みがちになってしまいます。

そこで言葉や文書で説明する場合には、3つの理由を簡潔にまとめて説明するのが良いとされています。箇条書きにすると、さらに良い (モア・ベター) です。

もちろん簡潔 (Clear) で論理的 (Logical) であることは必須だけれども、人間の思考を踏まえて工夫すると効果的です。1970年代に考案され、それで完成してしまったのも頷けます。

もちろん最近流行しているBig DataやAI (Deep Learning) も有用ですけれども、人間の言動を正確に観察するだけでも、ここまで実現できるのです。

(この観察/分析力とBig Data/Deep Learningを組み合わせたら、一体どんな成果が生まれるか... 非常に興味深い未来が待っているかもしれませんね)

図の活用

さてお待ちかねの「図の活用」です。6番目に紹介されていますけど、齋藤式ノート術10メソッドの最重要項メソッドと言えるかもしれません。

なぜなら背表紙部分に続く「本書はこのノートから生まれた」では、図 (イメージが) を始めとする視覚効果が有効活用されています。

試みに冒頭画像のように書き写してみましたけれども、たしかに頭の中がスッキリして分かりやすいです。さすがは「頭のよさはノートで決まる」の著者です。

ちなみにピラミッド図になっていないのは、「頭のよさはノートで決まる」を証明しよういる訳では無いからです。実は本当の狙いは、副題の「超速脳内整理術」にあります。

いきなりでは頭がパンクしてしまうので、おいおいと事例を通じて紹介するつもりですけれども、Barbara Minto氏、齋藤孝教授、前田裕二さんや他著者たちが目指しているのは、何かを証明することではありません。

あなたにメモ術やノート術を使いこなせるようになって頂くことです。これは術を一つ教わって、それを試してみて、指導者に評価して貰うのが最も効果的です。

実は大学の講義や、本を読んで身に付けるというのでは不十分なことが多いです。だからマンツーマンに近い指導を受けられるMBAや、職場の OJT(On the Job Training) で教わったりするわけです。

だから冒頭画像のノートを見て、「自分にはこんな芸当は無理だ」と諦める必要はありません。基本的なメソッド6図の描き方は、ピラミッド図とそっくりです。

ただし私のようなプログラマーにはお馴染みの、フローチャートがメソッド6図の基本になっています。「頭がよくなるノート」のP87では、図入りで紹介されています。興味のある方は、ぜひ試してみて下さい。

ちなみに私も会社で他部署の方から内々に相談を頂くことがありますけど、本当にコンサルティングした方が良い時には "悩みと対応策を即席フローチャート化" することがあります。(家族の相談(愚痴)を聞くような場合は、今のところ傾聴が一番効果的ですね)

古くは石器時代の頃から、人間は壁画を描いていました。図 (イメージ) というのは、なかなか基本的だけれども便利なツールだったりします。

"メモの魔力" の前田裕二氏にしても、メモ内容を具体的に公開している見開きページにおいては、手帳に図を2つ描いています。(第8刷ではP44-45部分)

ちなみにマッキンゼー出身者の書籍では方眼形式のノートが紹介されていることが多いです。この方眼形式は、図を描く時に便利です。

(いずれ私も事例紹介させて頂くことにします)

まとめ

以上が、図 (イメージ) の重要性を紹介する記事内容です。

ただし ... Pyramid Principleでも注記されていますけど、図は諸刃の剣です。一見すると分かったような気持ちになれるけれども、実は論理的な流れになっていないこともあります。

それでPyramid Principleの場合は、スパイラルに繰り返すことで自己チェックする方法を採用しているのです。なお今回紹介した冒頭画像の図は、実は整理よりも創造性に重点を置いています。

だからフローチャートっぽくないし、四現象図なども採用されています。この創造性を生み出すための図に関しては、また別な機会に紹介させて頂きたいと考えています。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静 (よつばせい)