【横浜日記】勤務場所は基本的に「社員の自宅」

NTTグループ社員には、日本全国どこからでもリモートで働ける制度「リモートスタンダード」が7月1日から導入されるとのこと。僕の周囲は製造業系の勤め人が多いので、果たしてこれは如何なことかと話題になった。

昨今のご時世に従って節電推進するためには、在宅勤務など導入しない方が好ましい。世間も落ち着いて来たので、僕の会社では在宅勤務制度を見直し、逆に事務所での仕事量を増やそうと検討している。

(横浜というイメージとはかけ離れた、あののんびりとしたムードの田舎工場だ)

今回は所用があって議論に加わることが出来なったので、ブログ記事として語らせて頂くことにする。

完全在宅は無理

なんか周囲ではいきなり話が吹っ飛んでいたようだが、たしかに完全在宅は無理だ。僕の工場でも必死に頑張ったけれども、、2021年に会社の在宅勤務率は70パーセントを達成した程度だ。

心外だけれども一匹狼と認定されている僕でさえ、数回は事務所へ赴いた。税金の処理とか、人間ドックとか、新人さんへの機器渡しといった用件だった。

その昔に保守部門に在籍していた時は、お客さんと工場の間は専用回線で接続し、リモート保守を実施していた。こういった物理的な作業は外せないから、完全在宅は無理というものだ。

NTT(日本電信電話株式会社)にしてもニュースリリースの通りで、「基本とする」に留まっている。そりゃメタバースといった仮想現実が進んでも、自宅と会社ネットワークの間が専用線で接続されていなければ、完全なセキュリティの確保は難しい。

VPN(Vritual Private Network:仮想専用回線) で接続しているといっても、しょせんはVirtual (仮想) に過ぎない。世の中にはスゴ腕の技術者が存在し、技術も日進月歩で進んでいる。物理的に専用線で接続しない限り、誰かに何かをされる可能性は否定できない。

それでもNTTが今更のように、それも政府に逆らうようにリモートワークを導入することには、なんとなく納得している。

だって在宅勤務になれば、自宅と会社ネットワークを接続することが必要になるから、NTTとしては儲かる訳だ。

ちなみにNTTとしては会社が儲かることが大切だから、別に世間が完全在宅でなくても構わない。7割在宅でも10割在宅でも、大した違いはない。ここら辺は、「大人の事情」というヤツだろうか。

在宅が向く者もいる

それから興味深かったのは、在宅だと運動不足になるという心配だ。

たしかに先日のオンライン会議では、うっかりカメラをオンにしてしまって、スッピンのお姿を拝見する事故が起こった。これは裏を返せば、邸内から屋外へ出ないというだろう。

しかし奇妙なことだけれども、僕の場合は在宅勤務の方が運動量が増える。うっかりゴミ捨てや買い物を忘れて、この歳で全力疾走モードになることさえ起こっている。

ちなみに熾烈を極めているのは、現在話題になっているヤクルトY1000の購入だ。近所のスーパーでは10時開店の直後に売り切ってしまう。

しかしこれが土曜日のような休日だと、さらに熾烈な競争となるから大変だ。昨日などは9時59分に到着したが、すでに5名がスーパー入口に並んでいた。

その光景を見た瞬間にイヤな予感がしたけれども、それは残念ながら杞憂では無かった。
開店と同時に "5名+僕" は店内へ駆け込み、皆はいっせいにヤクルトY1000売り場めがけて直行した。

英国最強の特殊部隊SAS(Special Air Service:SAS)や、米海軍のSEALSも顔負けである。ひんしゅくを買わないように目立たぬことを足音にも気を配りながら、整然と突き進む様子は感動的だった。

その日も4セットのみ販売だったので、残念ながら僕はヤクルトY1000を購入できなかった。やはり開店前に行列が出来るようなことがない平日の方が、気軽に購入できる... と、在宅勤務における運動の話だった。

自宅にいると、"在宅勤務" なのだけれども、家族は殆ど気にしてくれない。だからお使いで外出することも多い。会社も心得たもので、「休憩時間」という勤務区分が増えた。

それに職場だとトイレへ行く暇がない時があるほどブラックに働く必要も生じるけれども、在宅勤務は「ゆるく長く」が基本となる。会議にしても音声のみだから、自宅前の廊下を歩きながら参加するということも可能だ。

あと僕の場合は在宅勤務に向いているというか、会社がフル使役できるように環境を整えてしまった。昔だったら「育児があるので退勤しますー」で終わっていたのが、今は育児の後で在宅勤務することが可能になってしまった。

いずれにせよやっていることは大して変わらないと言えそうだけれども、少なくとも残業時間は赤い彗星シャアではないけれども、三倍に増えてしまった。

おまけに拙宅の場合は階段上り下りを遠慮なくやれるので、逆に体を壊しかけてしまった。歳も歳なので、むしろ運動量を減らすように心がける必要があるほどだ。

(そうは言っても、そろそろ自転車に乗るのも気をつけるようにした方が良さそうな年齢だし、なかなか悩ましい)

ポイントはチームワーク

さて僕的には違和感アリアリで話は進んでいたけれども、実はこれらは枝葉末節な話である。

どちらかという在宅勤務制度を設計する側の立場からすると、本質的に悩ましいのはチームワークである。何気ない会話... いや、単なる誰かのジェスチャー一つが、実は業務効率を大きく変えることがある。

だから業務用の機器操作や運動不足は全く気にしない僕にしても、在宅勤務には否定的だったりする。

(決して昔のように定時退勤したいという訳では無い... もう今は在宅勤務でなくても、下っ端担当の帰宅後における残業が可能になってしまった)

たとえばお客様のコンピュータシステムで異常が発生し、一刻も早い解決が必要な時は、それぞれの分野の専門家で構成されたチームによる議論が有効だ。

スーパーマンのような技術者がシステム全てを俯瞰し、「彼さえいれば全てオッケー」という時代ではないのだ。高度化して複雑化したシステムでは、専門家チームによる有機的な活動が重要なのだ。

これは別に障害対応に限らず、広告宣伝活動とか、製品の開発活動においても同様だ。僕にしても一匹狼という特別枠扱いになっていても、あくまで上司たちとはチャットで連絡を取りながら動いているし、いざという時にはチームへ合流している。

世界を相手にしたビジネスで勝利を得たければ、やっぱり在宅勤務ではムズカシイのですわ。在宅勤務だと、空の青さを体感できるいった楽しみもあるけれども。

ちなみに同じように認識しているのは僕だけではないようで、「仮想環境上に業務環境を再現できればテレワーク可能かも...」というコメントがあった。
その通りだと思う。

あとは「周囲のやり取り」とは、基本的にメールだったけれども、こういったやり取りも完全ではない。僕のこの記事を読んで、「いやいやそうじゃなくて... 」も大いにあり得るだろう。

(実は僕は一匹狼じゃなくて、単に人づきあいが下手なだけ... 単に「勘違いしやすい、ちょっと残念な人(by 子供評価)」だったりする)

ともかく、在宅勤務も悪くないけれども、やっぱり少なくとも、ここぞという時には事務所で仕事することが必要だよね... という訳なのである。

しめくくり

以上の通りで、NTTがリモートワークに関する発表をしたけれども、「まあともかく頑張って下さい」という所感になる。

なお在宅勤務で運動不足になるというのは、なんとなく人間的に立派だからという気がする。僕など単細胞生物という強みがあるので、単純にノルマを決めたら、淡々とやってしまえば終わりである。
(たとえば一日一万歩のノルマとか)

そういえばクラウドといえども物理的な機器やデータセンターが必要だという話があったけれども、昔の部署にいたエース技術者は "某クラウドの会社" へ転職してしまった。

これはこれで興味深い話なので、いずれ日記にさせて頂きたいと思う。ともかく、在宅勤務は、なるようになっていくだろう。あとは自分が、どうやってその流れの中を、満足できるように泳いでいくか、だと思っている。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

P.S.
最近は歯磨きしながら散歩しているので、近所から変人扱い... ま、健康第一で。

-------------------------
記事作成:小野谷静