文具

【文具日記】Perfect Pencilマグナムは書きやすくて感動するという話

Perfect Pencil マグナム

文具メーカーのファーバーカステルは、パーフェクト・ペンシルという鉛筆を製造している。

そして「パーフェクト(完全)」だけでは飽き足らず、西暦2000年頃からはパーフェクト・ペンシル伯爵コレクションをいうシリーズを始めた。冒頭画像は、そのシリーズの一つであるプラチナ・コーティングというモデルだ。

鉛筆本体が1,000円レベルであり、エクステンダー(鉛筆キャップ)を含めると数万円という代物だ。しかし驚くのは、これからだ。

さらに恐ろしいことに、現在のファーバーカステルでは、ワンランク上の伯爵コレクション・マグナムを商品化しているのだ。

普通の伯爵コレクションでさえ、鉛筆の半径は丸型3.5mmなので、そこからして日本の一般的な鉛筆よりも太い。

それがマグナムに至っては半径5mmである。

今回はこの伯爵コレクションのマグナムが、いかに書きやすさでもマグナム級… つまり、ものすごく書きやすい鉛筆であることを紹介させて頂くことにする。

太さは大切

太さは大切というと、何やら妙ななことを想像してしまうかもしれない。それほど “マグナム” というネーミングはスゴいことに用いる。

太さ… 鉛筆の直径… つまり軸径は、先ほど紹介した通り、”10mm(正確には9.5mm)” である。僕は長く生きて来たけれども、これよりも太い鉛筆の存在を知らない。

(自分で自作した鉛筆は例外。ちなみに鉛筆の芯部分の直径も マグナム級であり、なんと5mmもある)

漫画シティハンター冴羽獠(リョウ)の奥の手は、41マグナムの中でもワン・オブ・サウザンドと呼ばれる特別品だったりする。このパーフェクトペンシル伯爵コレクション・マグナムも、それに通じる特殊性能を誇る。

文具ライターの小日向京さんも、その書きやすさを絶賛している。

… 上の写真は、色々な紙に書いてみたものです。総じて言えることは、走り書きにぴったり向くという点です。太軸で書くと、芯先を移動させるための指の動きは、細軸で書いた時よりも少なく済みます。無駄な動きなく書けるから速く書け、走り書きに向くというわけです。

 

科学的には彼女の説明は正しくないけれども、言いたいことは十分に伝わってくる。芯先を移動させるための指の動きは、鉛筆の軸径とは全く関係しないけれども、ともかく書きやすいのだ。そして彼女の評価通り、走り書きにも向いている。

ちなみに西暦2000年頃からブームになったけれども、筆記具の太さは万年筆に限らず、ボールペンやシャープペンシル… 果ては鉛筆に至るまで、太軸の方が書きやすいので人気が高い。

なぜなら筆記具は、指先の三点と、指の付け根の一点で支えて運筆する。だから太軸の方が安定して握れるという訳だ。筆記具の角度もふと軸の直角に(若干)近くなるから、先端部分の状態に関わらず、正確にコントールしやすくなる。

細かい理屈など、どうでも良い。ともかくマグナムは「書きやすい」の一言に、全てが集約されるのである。僕の言うことが信じられないのであれば、自分で試してみるのが一番だ。

どうして冒頭画像の伯爵コレクションにゴテゴテと付箋紙を重ねて貼っているかというと、その太さを実感する実証試験をやったからだ。その際には周囲の者たちまで巻き込んだ騒ぎになってしまったけれども、一様に「付箋紙の貼られたパーフェクトペンシル伯爵コレクションの方が書きやすい」と好評価だった。

Perfect Pencil マグナム

(なぜ比較できたかというと、つまりノーマル状態と、実証試験用の2本を持っていたからで、つまり、あの、その…)

ともかく、まさにシティハンターの41マグナムのように、実に頼りになる “相棒” なのである。

重さは悩み

さてパーフェクトを名乗るマグナムだけれども、もちろん悩みは存在する。それはマグナムの名を冠せられたツールに共通するものだ。

分かるかな、ベイビー。つまり、ヘビー… 「重い」のである。

もちろん鉛筆本体は木軸と鉛筆芯で構成されているから、軽くて扱いやすい。ここら辺は、万年筆やボールペンといった、他の筆記具とは異なっている。

ただし軽いと運筆が容易で、長時間の継続利用も可能になるけれども、圧倒的なまでの高級感が消え去ってしまう。そのためなのか、筆記具メーカーは、プラスチック系の素材を使用して、意外に軽めに抑える製品を投入している。だから40gを超える筆記具は稀である。

その代わりなのか、高級筆記具というと、誰もが黒(ブラック)の本体をイメージしてしまうように、重みを感じられる黒系を採用しているモデルが多い。

ちなみに僕の場合、40gを超える筆記具というと、モンブランのスターウォーカー(レッド・メタルモデル)とロードスター(二本)というボールペンしか所有していない。

(いやいや、それだけ所有していれば、十分に文具ライターと云えてしまうかもしれない)

さて伯爵コレクションのマグナムだと、鉛筆本体はさておき、エクステンダー(鉛筆キャップ&補助軸部分)が重いのだ。なんと先ほどボールペンたちよりも重くて、46gもある。だから当たり前のように、マグナム級の高級感を実現することが出来る。

もちろんプラスチック素材を採用して軽いエクステンダーを作ることも可能だけれども、それだと「ちょっと太軸で書きやすい鉛筆」で終わってしまう。そのあたりの使いやすさと高級感のバランスが、なかなか悩ましいところだったりする。

ちなみにエクステンダーの中は、空洞ではない。シャープナーと呼ばれる鉛筆削りが内蔵されている。

そりゃ、ま、そうなるだろう。

ちょっと考えてみると分かるけれども、軸径9.5mmの鉛筆ということは、普通の電動式鉛筆削りは使えない。我が家の “三種の神器” となっている、CRAL手回し式鉛筆削り器も使えない。

ちなみにファーバーカステルの三角型えんぴつ削り器であれば、何とかなるかもしれない。御覧のように、右手前のUniversal部分は直径10.5mmだ。それでも満足できない場合は、素朴にカッターで削ることになるだろう。

しめくくり

以上の通りで、ファーバーカステル伯爵コレクションのマグナムは、恐ろしいほどに書きやすい鉛筆だと評価できる。これは手の小さな子供や、細軸の事務用ボールペンに慣れた事務員でない限り、誰にでも同じことが言える。

ただしこれが30年前だったら、まだパソコンは普及期だし、スマホは存在しなかったから、多くの人々が細軸でも十分に運筆できただろう。しかし2000年頃を境に、世界は変容を遂げてしまった。現在は太軸筆記具が大人気である。

そういう “時代” というヤツが、マグナムを生み出したとも言える。

ちなみに僕がマグナムを購入する予定があるかというと、今のところは全くない。本当だ。

今まで予定が全くないと言った一週間後には “記憶を失った” ことがあるけれども、今度こそは間違いなく購入しないだろう(… おそらく、多分)。

どうしてそこまで自信を持って言えるかというと、さすがに46gのエクステンダー(鉛筆の補助軸)は重すぎるのだ。現在使っている伯爵コレクションのプラチナコーディングという標準モデルで十分だ。

この付箋紙を貼りまくったプラチナコーティングであれば、重さは実測24gだから、モンブランのマイスターシュトュックというボールペンと互角になる。

おまけにこのパーフェクトペンシルには “ちょっとした改造” を施してあり、三菱鉛筆ハイユニをそのまま使えるようになっている。そしてエクステンダーの中にシャープナーは存在しないので、かなり長めの状態である三菱鉛筆ハイユニでも利用できる。

それから… そもそも三菱鉛筆ジェットストリーム0.28mm低粘度ボールペン使いの僕が、どうして鉛筆使いをやっているかというと、今の我が家には使いかけの鉛筆が溢れかえっているからだ。

どこぞの誰かさんが小学生の時に使った鉛筆が、どういう訳か山ほど発掘されてしまった。捨てるのは昭和マインドの “モッタイナイ神” が降臨するので、やむなく使わざるを得ない。

だから別に、オシャレでカッコ良くマグナムを使う必要はないのだ。一日も早く全ての鉛筆を使い切って、元のボールペン生活に戻りたいと願っている。鉛筆だとアイディアスケッチに便利だけれども、小さな手帳に山ほどメモを取るのには向いていない。書類のサインにも利用できない。

ほぼ日手帳のA6相当サイズで使うには、やはり0.28mmクラスのペン先が望ましい。

だから、好奇心に駆られて伯爵コレクションには手を出してしまったものの、さすがにマグナムにまでは手を出さないだろうと思うのだ。シティハンターはカッコ良いけれども、彼もマグナムは奥の手だった。今の僕は、伯爵コレクションのプラチナコーティングで十分に満足できるのだ。
(予備品も確保してあるし)

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静