横浜日記

【聴く力の重要性】怪奇「メールの使い方を忘れちゃったの」事件の真相

僕は「聴くこと」が得意ではない。今回はそれで、一週間ほど不便な生活を強いられることになった。

幼児を相手にして来たから、少しは鍛えられかと思ったけれども、人生というのは期待通りには行かないらしい。やれやれ。

ともかく順を追って説明させて頂くことにしよう。

メールの使い方を忘れた人

言うまでもなく、メールの使い方を忘れたのは、我が母親である。

親父の三回忌の追善供養で実家を訪れた際、母親に「特に何か不都合は起こってない?」と、いつものにように尋ねた。
そしたらいつもように事件は起こっていた。
「パソコンのメール、書き方を忘れちゃったのよ」との返事があった。
「...」

ちなみに我が母親、昨今のご時世のため、ずっと自宅に籠っていた。そして仲の良かったご近所さんは、引っ越してしまった。
話し相手も少ないのだ。

年齢も80歳を過ぎているせいか、少しボケて来たような感じだ。
相変わらず、元気は良い。
しかし昔から比べると、考える力が少し落ちたようだ。物忘れも多くなって来ている。
(あえて元からの思考力が大したことないとは言わない。子供ですから)

そんな状況だったので、失礼千万にも、てっきり本当にメールの書き方を忘れたのだと勘違いしてしまった。
いやいや、僕だけではない。その場に言わせた全員が、「彼女はメールの書き方を失念してしまったのだ」と思い込んでしまった。

で、その時は皆と少し相談したけれども、僕がIT技術者には定番の「手順書作成がベストだろうね」という話になった。
ただし彼女は真面目な性格で、過去に手順をメモ取りしていた。自分の息子を「メモ魔」と言うけれども、そもそも彼女自身がメモ魔なのである。

つまり既に手順書は作成済みだけれども、その手順書も見当たらなくなってしまったということらしい。
そうなると紛失防止のため、ノートパソコンのフタにでも、手順を書いたメモを貼るなどの工夫が必要となりそうだ。いくら15.6インチサイズでも、1枚に収めるのは大変だ。

で、結局その時は、僕が後日対応するということで解散した。

真の原因と対策

そして翌日の夜中、ようやく時間を確保できるようになった僕は、母親に電話してみた

「昨日のメールの書き方を忘れたという話、メールを読むことは出来ているの?」
「そんなの分からないわよ。最後に使ったのは、二三日前だから」

… どうも会話の歯車が、今一つ嚙み合わない。
昔から噛み合いが宜しくないが、さらに噛み合わなくなっている。

「どこから操作方法が分からなくなっている… そもそも最初から、やり方を説明してみて貰える?」
お袋さんは、即座に反応した。
「最初にパソコンのフタを開けるでしょ。そしたボタンを押して… そこから後が分からないのよ」
どうやらボタンとは、電源スイッチのことらしい。

「そこから後って… ノートパソコンは無事に起動して、メールのボタン… アイコンというんだけれども、それをマウスで押して起動し、メールを読むことは出来るんだよね?」
「そんなの分からないわ」

うーむ、状況が掴めない。さてさて、どうしたものか。
こちらもコミュ障だから、どうも初心者向けの分かりやすい説明が、キッチリと出来ていないらしい。

ちなみにPure Storageというコンピュータ機器のベンチャー企業では、経営幹部のCTOが息子を会社へ連れて来て、ビデオを撮りながら組み立て作業をやって貰ったとのことだ。
その狙いは、「マニュアルの分かりやすさを追求するならば、何も知らない子供に、実際に試して貰うのがベストだ」という考えに基づいているとのことだ。
拙者、まだまだ “分かりやすい説明方法” の修行が足りないでござる。

ともかく、自分に不足している技量のことを嘆いていても、状況が好転することはない。
何はともあれ、状況を理解できるようになるまで、根ほり葉ほり質問を続けるしかない

ん、根掘り葉掘り?
そういえば、画面の根というか、Windows 10では最下端にツールバーが表示される。

「パソコンの起動が終わったら、画面下側に帯のようなものが表示されるようになっているハズだよ。そこに表示されているメールのボタン… アイコン… つまり郵便封筒みたいな印を押せば、普通はメールプログラムが起動するけど、それをいつもみたいに実行できているか分かる?」
「あっ、そういえば、その郵便封筒みたいのが見当たらないのよ」

… どうやら全然、「メールの書き方を忘れた」とは違う問題らしい。

勝手に憶測するに、Windowsのタスクバーにピン留めされていたメールプログラムが、何か拍子に外れてしまった状況らしい。

いやいや。「らしい」というか、ついうっかり、このタスクバーにピン留めする設定を解除してしまう事例は多い。僕もメールではないけれども、経験したことがある。

いわゆる、「単純な操作ミス」というヤツだ。

話を戻そう。
つまり僕が苦労して手順書を作成する必要はなく、僕が再び実家を訪問するだけで良いという訳だ。その時に冒頭画像のように、Windowsのツールバー左端に表示されたMicrosoftロゴをマウスで左クリックし、まずはプログラム一覧を表示させる。

そしてマウスの中央にある歯車みたいなものをクルクルと回して、下方向へ全力スクロールすると、一番最後にメールプログラム(メーラー)が表示される。
(今はWindows 11だけれども、Windows 10環境のマシンを調達して、再現してみた)

このメールプログラムの上にマウスを置き、右クリック操作で表示された「その他」という文字列を選択し、「タスクバーにピン留めをする」を選択してやれば良い。

もしくは下記の画像のように、メールプログラム稼働中に、マウスを右クリックして「タスクバーにピン留めをする」を選択しても良い。

おそらくツールバーの中に、メールプログラムアイコンが復活すれば、我が母親の問題は解決されるだろう。
もしかしたら電話で説明しながらパソコン操作して貰えば、母親自ら復活させることも可能かもしれない。

まとめ:どうしたら良かったか

さて今回の事件では、まずツールパーのメーラーアイコンが消滅しても困らないように、僕がデスクトップ画面にもメールアイコンを設置しておけば良かったという反省がある。
(TVの推理ドラマで良く使われる「こんなこともあろうかと…」のパターンである)

ちなみにこちらの作業は、先ほどのMircrosoftロゴをマウスで左クリックしてから表示されるメールプログラムを、今度はマウスの右クリックで掴んだまま、デスクトップ画面に移動させてやるだけで作業完了する。

そして二つ目の反省としては、たとえ母親が「操作方法が分からなくなった」と言って来ても、冷静に微妙な違和感を「聴き取り」出来るようになることだ。

この「聴き取り」が出来るようになれば、何が起こっているかという事実に、早く気づくことが出来る。

しかしこれが冒頭で告白したように、僕にはあんまり向いていない分野なのだ。

そうはいっても、嘆いているだけでは、状況を変えることは出来ない。少しずつでも、聴き取り力は向上させたいものだ。というか、仮にも社会人ならば、今の聴き取り力レベルでは、少しばかり不味いだろう。

(それと、もうちょっと母親のことを信じよう。少しボケたり忘れやすくなっているかもしれないけれども、さすがにパソコンの画面を見ながら、操作方法を思い出せなくなるというのは、おかしなことだろう。今回は、全て僕の未熟さと人間性の問題だ)

なお我が母親、思考力はともかく、「気づく力」は高い。
先日も叔父から郵送物があったけれども、「誰が書いたのかしら?」と発言していた。
彼女には黙っていたけれども、叔父のところもいろいろあって、実は従兄が代筆していたのだ。こういうところは、全くもってして敵わない。

ともかく彼女のパソコン、一刻も早く回復することを祈るばかりである。
回復したらしたで、さっそくアレコレとメールで連絡してくるかもしれないけれども。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静