文具

【文具日記】クロスのエッジは、ワイシャツを汚すことがない水性ボールペン

さて前回はクロスのボールペンに、百均やコンビニでも販売されているようなシグノ替え芯やSARASA替え芯を装着する方法を紹介した。

その際にモンブランのマイスターシュテュックやファーバーカステルの高級ボールペン(油性)にも、シグノやSARASAを互換芯として装着可能であることを紹介した。

クロスのボールペン互換芯としてシグノやSARASAを利用今回はクロスという高級ボールペンに、コンビニや百均でも見かけるシグノやSARASA芯を使用してしまうという話。 なんだか、みみっち...

しかしキャップ式ボールペンでは快適なシグノやSARASAだけれども、残念ながらツイスト式ボールペンやノック式ボールペンの互換芯には向いていない。

唯一向いているのは、クロスのエッジというボールペンになる。

今回はクロスのエッジが、どうしてシグノやSARASAに向いているのかを紹介させて頂くことにする。

キャップ式の良さ

さて前回のおさらいをしておくと、シグノやSARASAはゲルインクを採用している。だから、うっかりペン先を本体内に収納し忘れると、ワイシャツに刺した後で悲劇になってしまう。

世間では除光液や重曹を使った「キレイな洗い方」を紹介しているところも多い。しかし残念ながら、これは一般的ではない。少なくとも僕は挑戦してみたけれども、「結局は汚れが薄く引き伸ばされただけで大差なし」という結末に終わった。

我が父親はそんなことはなく… せっかく三回忌の追善供養も終わった直後だし、目の前に飾っている親父さんの写真から、ご本人に登場して来て頂くことにしよう。(脳内リプレイ… シミレーションともいう)

--- いや、静、そんな場合じゃないだろう。もう親指の付け根は、無事に治ったのか。
 … 親父さん、相変わらず心配性である。
--- まだ完治はしていないけれども、もうテーピングせずに筆記具を持つことは出来るし、キーボードも殆ど問題なく叩けますよ。
--- しかしおれの形見のボールペンは細身なのに30gを超えるから、大変だったろう。
--- いや、さすがに形見のボールペンは使っていなかったら、大丈夫。
--- そうか。
--- 軽くてペン先を動かしやすい、クロスのエッジというボールペンを使っていたんですよ。
--- またボールペンを増やしたのかっ!
 … 大きなお世話である。
--- ボールペン本体が軽くて、親父さんが使っていたSARASAみたいに書き味も軽いボールペンなので、大いに助かりましたよ。
--- そうか。ともかく仕事に集中出来ていたんだったらば、何よりだ。

 納得してくれたみたいだが、ここは一つ説明しておこう
--- クロスのエッジは、我が家の家計を助けてくれるボールペンなんですよ。
--- 家計を助ける?
--- いやね、ワイシャツの胸ポケットが汚れてダメになるのを、防いでくれるんです。
--- お前、胸ポケットにプラスチックカバーしていなかったか?

… 死んでいるのに、物覚えは悪くなっていないらしい。

これが僕の使っていた、胸ポケット用ペンケースだ。しかし実をいうと、このペンケースからはみ出して、ボールペンを刺してしまったこともある。

--- 胸ポケット用ペンケースに加えて、ボールペンでも防ぐことが出来るんですよ。
--- どうやって防ぐことが出来るんだ? そういえばお前、『キャップ式ボールペンが胸ポケット用ペンケースに使えない』と、騒いでいたな。
--- キャップ式ボールペンは円筒形だから、ペンケースのカバーと相性が良くないんですよ。円錐形が必要なんですよね。
--- でも円錐形のペン先だと、どうしても捻ったり、ノックするボールペンになるだろう。お前、小さい頃から大雑把だったからなあ。
 … 本当に、大きなお世話である。こんなことから、召喚するんじゃなかった。
--- だからクロスのエッジなんですよ。

そういって、僕はボールペンを取り出した。

この青いクロスのボールペンが、残念ながら販売終了となってしまったエッジというモデルである。

冒頭画像を記憶していた場合、「あれっ?」と思われるかもしれない。

その通り、このボールペンは、変形するのである。普段は、ずんぐりむっくりの、太目で短めの円錐形ボールペンだ。

しかし使う時には両端を引っ張ると、真ん中部分が延び出て来る。そして真ん中部分が延びるにつれて、ボールペン本体からペン先がせせり出てくる機構になっている。

なんというか、クロスの技術者が趣味で作ったように見えかねないボールペンである。

しかし実際に使ってみると分かるけれども、ペン先が出ている状態のエッジは、ワイシャツの胸ポケットには収まらない。だから、収容用に変形していないことが一発で体感できる。

だからこそ、このクロスのエッジは素晴らしいのである。親父も感動してくれるかもしれない。

--- 感動しているぞ。これなら大雑把なお前でも、ワイシャツの胸ポケットをダメにすることは無いだろう。お前と来たら、カレーを作ろうと具材を切っている時に話しかけられて、指まで切って三針縫った間抜け者だからなあ。

まったくもってして、どうしてこうへらず口を叩くのか、やはり我が父親である。

--- それはともかく親父さん、クロスのエッジには、もう一つ便利なところがあるんですよ。
--- お前、クロスの営業になったみたいだぞ。

僕は格安の互換芯を考案してしまった者だから、文具界の異端児というか、「我、歓迎されざる者」である。間違ってもクロスの営業担当者ということはない。

それはともかく、上の画像の通りで、エッジのクリップはクロスに珍しく、稼働式なのである。だからバックパックもボールペンも痛めることなく、アッサリと収納できる。

ちょっと不要心に思われるかもしれないが、これだと「いつでもサッと取り出して、すぐにメモすることが可能」だと言える。

昨今のご時世だと換気のために冷房も弱まりそうで、ワイシャツでなくてTシャツで出歩きたくなりそうだ。しかしそんな時でも、エッジならばバッグから気軽に取り出すことが出来る。

もちろん女性だと上着にボールペンを刺すのは難しいだろうから、同じように「エッジは便利」だと言えそうだ。

そんな訳で、親父が亡くなった後も月日は流れており、高級ボールペンの世界でも変化が続いている。

おそらく僕が亡くなった後でも、文具メーカーの技術者たちは、スマホやタブレットなどにめげることなく、斬新な筆記具を作り続けてくれることだろう。

そして歴史と伝統を持つモンブランのマイスター・シュテュックなども、粛々と続いていくことだろう。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静