文具

高級ボールペンを全て蹴散らした、ファーバーカステル ギロシェの真価はアンバランス

ファーバーカステルのギロシェ

ファーバーカステルの名前を知らない人は少ないだろう。ドイツが世界に誇る文房具メーカーであり、その代表格である鉛筆は超有名だ。

我が家でも、最初は子供用の色鉛筆から、ファーバーカステルとのお付き合いが始まった。そして高級ボールペンを一通り揃えた後、再び鉛筆(パーフェクトペンシル)へと回帰した。

なんだかネットでは使いやすいと絶賛する人が多いけれども、この槍のような形状は常識的ではない。今回の記事では、なんでこんな趣味的なボールペンを使っているのか、その理由を説明したいと思う。

ギロシェのペン先

まず最初に説明しておくと、僕のギロシェはシスレー アンスラサイトというモデルだ。定番の売れ筋商品は、ギロシェのブラックになる。

どーしてマイナーなシスレー アンスラサイトかというと、ズバリ言って、予算の問題だ。たまたま中古品が数千円で出回っていたので、それを好奇心で購入してみたという訳だ。

ちなみにTVドラマの探偵ガリレオでは、福山雅治が演じる湯川学先生が、ファーバーカステル伯爵コレクションのアロネ・エボニー軸ボールペンを使っている。こちらはペン先の金属部分が、なんと33mmという長さであり、どう頑張っても馴染めない。

それに比べると、ギロシェはペン先の金属部分が29mmであり、まあ何とか僕でも使いこなせる。そこでここ数年間は赤インク替え芯を入れて、自宅の机上で常用していた。普通のボールペンとして使えないこともないけれども、もっと書きやすいボールペン軸は山ほどある。

今回わざわざギロシェ軸に登場して貰ったのは、ここしばらくは鉛筆の芯ホルダーとして使っているからだ。もともと僕は学生時代に万年筆を使っていたこともあり、斜めに寝かせて運筆すると、ギロシェは大変に使いやすくなる。本当に快適だ。むしろ感動的ですらある。

(ただしボールペンはチップの関係で、本体軸を寝かせて書くのには向いていない。だからボールペンとしては、どうしても使いやすくて快適だとは言えない)

ちなみにファーバーカステルはパーカー互換芯(G2芯)を採用しているので、替え芯アダプターを使うことができる。そのアダプターへ4C芯リフィル(替え芯)の代わりに、2mm鉛筆芯を装着しているという塩梅だ。

ボールペンの替え芯アダプター

このリフィルアダプターを使えば、簡単に鉛筆芯部分の飛び出し具合を調整できる。だからギロシェのボールペン軸でさえ、鉛筆の芯ホルダーとして使えるという訳だ。

もちろん僕のようなメモ魔でなければ、つまり一日でノート20ページ以上を使うような変わり者でなければ、十分に普通のボールペンとしても使える。ビジネスパーソンが商談の時に顧客前で使っても、全く問題ない。

このギロシェのボールペンを、家宝として使っている人もいる。婚姻届けや出生届など、人生の大切なイベントの時に使うのだ。僕が親父の形見のクロス・ボールペンを使ったり、モンブランのスターウォーカー・ボールペンを使っているのと似たようなものだろう。

この通り、自分はコテコテの理科系人だけれども、それでも「想い」というのは、人間にとって大切なものだと思う。無神経の塊と言われる僕でさえ、なんと2022年1月半ば頃に、急に集中して思考するのが難しくなった時期が訪れた。

そんな時に僕を助けてくれたのは、モレスキンのノートと、子供との想いが詰まったスターウォーカーだった。人間というのは、けっこう単純な存在でもある。手が動けば、不思議と灰色の脳細胞も活発に活動し、集中力も復活してくれる。

しかしどういう訳か、会社支給のB4サイズ大学ノートと、0.5mmシャープペンシルでは、どういう訳か手が動かない。もしかするとスランプって、こういう状態のことを言うのだろうか。

だからファーバーカステルのギロシェを、家宝ボールペンとして持っている人は強い。僕のように集中して思考できないような状態になってしまっても、その人たちにはギロシェがある。

そんな皆の想いに十分に応えることが出来るような風格を、ギロシェは持ち合わせている。僕のギロシェも、「赤い彗星」ではないけれども、ここぞという時に決定的な働きをしてくれる。

ところで僕の場合、実は婚姻届けに使ったボールペンは手元に残っていない。親父から譲られたクロスのクロームというボールペンを使ったのだけれども、それは従兄に頼まれて譲ってしまった。

現在手元にあるのは、数年前に親父から譲って貰った、「おそらく… たぶん… クロスのボールペン」だ。どこにもクロスの刻印はないけれども、クロスの純正芯を装着可能だ。ボールペン通な僕でさえモデルを識別することが出来ないけれども、親父がクロスだと言っていたのだから、クロスで間違いないのだろう。

謎のクロスのボールペン

なお出生届に使ったのは、もちろんモンブランのマイスターシュテュックだ。ちなみに年末に破水して入院手続きする時に使ったのも、このマイスターシュテュックだ。

さすがにあの時は、気が動転して、手が震えて自動車を運転できない状態だった。救急車のお世話になり、病院の受付では、なぜか入院者のところに自分の名前を書き込んでしまった。救急隊員の方々や病院関係者が声を出して笑い、おかげで家族も破水の緊張がなごんだとのことだった。

ファーバーカステルのギロシェ・ボールペン

なお御覧の通りで、ファーバーカステルのギロシェは、やはり普通のボールペンのように持つのは少し難しい。僕の場合は、セロテープを2mm幅くらいに切り、ペン先の端にあるの装飾模様に巻き付けている。

そうするとセロテープを貼った部分は滑らなくて使いやすくなる一方で、見た目はセロテープを巻いていると全く分からない。それどころか、巻き付けた僕自身でさえ、いつの間にかセロテープの存在を忘れてしまうほどだ。

ちょっとしたTIPSだけれども、もしもギロシェのボールペンをガシガシと使い倒そうと思っている人がいたら、試してみても悪くないだろう。モンブランのようにド派手なホワイトスターも煌めく部分のない、地味で変てこな外観な軸だけれども、これだって立派な高級ボールペンだ。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静